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ことばの変化 史記 別冊 [まえがきからの啓発]

”経済面 戦争が長期化すればするほど、人的物的補給が必要となる。この点に関しては蕭何の存在が大きかった。彼は関中における後方建設を一手に引き受け、生産拡大に努め、漢軍が破れるたびに、兵を補充してきた。楚側は、後方建設どころか、彭越軍に絶えず悩まされ、補給路を絶たれることさえしばしばあった。”
和田武司+山谷弘之訳 史記(IV) 逆転の力学 徳間書店 1988 解題より

” IV 幕下の群像 一 補佐役の身の処し方 蕭何
蕭何は一度も戦場に立ったことはなく、もっぱら内政面で漢帝国の創建に貢献した。
かれは高宗 劉邦から最も疑われる立場にありながら、最も厚い信頼を得た。”(251ページ)

この文章の後、蕭何の業績や履歴が記載される。
漢を立ち上げた劉邦との出会いから、その前後での蕭何のひととなりや業務の遂行の仕方、また、劉邦が挙兵をした後も事務を取り仕切った。そして、劉邦が秦を討って咸陽に一番乗りしたときに、蕭何は「もっぱら秦の丞相・御史の法令や文書を手に入れ、保管した」とある。それがその後、漢を司る上で、国の重要拠点、人口、戦力なども把握でき、治世に生かした旨の記述が見られる。

その後、蕭何は多くの職位、褒賞を得ることになるが、劉邦から不審を買わぬように振る舞う様は、感嘆に値する内容かと思う。この書には凝縮された内容でわかりやすく紹介されている。

近年の各地で起こる紛争にしても、一国での財政では賄いきれず、他国の支援を受けながら、争いを続ける状態を目にする。目論見通りにいかないこともあるのだろう。冒頭にあるように、終わりの見えない中、長期化に備えた思慮ある行為の有無がなかなか見えていない現実。
これは、史記という書物に明記する司馬遷の注意書きが目に映らないということかも。
史記が英文など海外の言語に翻訳されていないかを調べてみたいところである。

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